こもれび日和
「いらっしゃい!」
スギムラ巡査が大きな鍋をかき混ぜながら手を振る。

「ちょうど今、出汁が一番おいしいところですよ」
サオトメ巡査部長が湯気の向こうでにっこり。

大きな寸胴鍋からは、
かつお節と昆布の香りがふわ〜っと広がり、
村のみんなの頬がゆるむ。


スギムラ巡査がそっと手渡したどんぶりは、
湯気でもう白くもやもや。

「わー!!いいにおい!!」
歩が目を輝かせる。

「おいしそう……!」
直は両手でしっかり器を抱える。

2人は箸を手に持つと、
勢いよくズズズッとすする。

「おいしいーーー!!」
「ぼく、もう1杯食べられる……!」

スギムラ巡査は目尻を下げて笑い、

「おかわりあるぞ。
今日はみんながおなかいっぱいになるまで作るからな!」

サオトメ巡査部長も、

「一年の終わりはね、
こうしてみんなで温かいものをいただくのが一番なんですよ」

と優しく頷く。

その周りでは、
コモレビ村の人々が「一年お疲れさま」と声を掛け合い、
湯気の立つそばをのんびり味わっていた。


おそばを食べて体がぽかぽかになった春夏秋冬家。

帰り道、
歩は満足そうにお腹をなでながら言う。

「スギムラさんのおそば、また食べたいね!」

「ね、ほんとに……あったかかった……」
直嬉しそう。

蘭は微笑み、

「これで心も体も綺麗に年を越せるわね」

律もうなずく。

「いろいろあったけど、
こうやって家族で大晦日を迎えられるって、幸せだな」

静かな雪が降りはじめ、
コモレビ村はゆっくりと新しい年を迎える準備をしていた。
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