こもれび日和
保育園に着くと、
女の子たちはどこかソワソワして、
男の子たちは、妙にそっけないふりをしていた。

「おはよー!」

マキが元気よくやってきて、
直の顔をのぞき込む。

「……お、おはよう」
直は耳まで赤くなる。

歩はユイを探した。

(どこだろ……)

教室の隅。
ユイは窓際で、外をぼんやり見ていた。

「ユイちゃん!」

歩が駆け寄ると、
ユイは振り向いて、小さく笑った。

「おはよう、歩くん」

その笑顔は、どこか決意を秘めているようで、
歩は一瞬、胸がきゅっと締め付けられた。

(……やっぱり、なんか変だ)

でも、今日はホワイトデー。
勇気を出す日だ。

「ゆ、ユイちゃん、あのさ……!」

歩はぎゅっと袋を握りしめた。

「このまえ、チョコくれたから……
 その、おかえし……!」

水色の袋を差し出すと、
ユイは目を丸くして、それからふんわり笑った。

「ありがとう……。すごく、うれしい」

受け取った手が、少しだけ震えているように見えた。

そう思った瞬間。

「……ねぇ、歩くん。
 きょうね、話したいことがあるの」

ユイが、そっと声をひそめた。
< 139 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop