こもれび日和
それじゃまた
そんなある日。
お迎えの時間、園の門のところで、
ユイの母・ミハルが蘭に声をかけた。
「蘭さん……あのね。
ユイと歩くん、2人だけでピクニック、どうかしら?」
「ピクニック?」
蘭が目を瞬かせると、ミハルは少し照れたように笑った。
「引っ越しの前に……ユイ、歩くんと“ふたりの思い出”を作りたいみたいでね。
わたしがそばで見てるから、よかったらどうかなって」
蘭は少し驚いた後、優しく微笑んだ。
「それ、すてきですね。
歩も、きっとすごく喜ぶと思います」
数日後の休日の朝。
空は薄い水色で、やさしい春の風が吹いていた。
コモレビ川のほとりにある、小さな公園。
木陰のベンチの近くに、シートが敷かれている。
「歩くん、こっちよ〜!」
先に来ていたユイが、大きく手を振った。
隣にはバスケットを持ったミハルが立っている。
「おはようございます!」
歩は少し緊張しながら走り寄った。
「歩くん、今日は来てくれてありがとうね」
ミハルは柔らかく笑い、バスケットを軽く持ち上げる。
「今日はね、ユイと歩くんの“ふたりピクニック”…
私は、ちょっと離れたベンチから見守ってるわ」
「ふ、ふたりで?」
歩は照れくさくて、耳まで赤くなった。
ユイはそんな歩を見て、くすっと笑う。
「だいじょうぶだよ、歩くん。
お母さん、ちょっと本読んでるだけだから」
ミハルは「じゃあ、いってらっしゃい」と言いながら、
ベンチへと向かっていった。
川のそばに敷いたレジャーシートの上で、
ユイはバスケットのふたをそっと開けた。
中には、
・たまごサンドとハムチーズサンドのサンドイッチ
・小さなおにぎり(しゃけとこんぶ)
・手作りのまるいクッキー
「わぁぁ……!」
歩の目がきらきらした。
「おいしそうだろう?」と、なぜか少しカッコつけた声を出してしまい、
自分でも恥ずかしくなって口を押さえる。
ユイはクスクス笑いながら、サンドイッチをひとつ渡した。
「たまご、好きだったよね?」
「うん!」
歩はサンドイッチを大きくかじった。
ふわふわのパンと、やさしい味のたまご。
「……おいしい!」
「よかった」
ユイも、おにぎりを小さくひとくち。
「ねぇ、歩くん」
「ん?」
「覚えてる? はじめて一緒にクッキー作った日」
そう言って、ユイはバスケットからクッキーを取り出す。
それは、あのときと同じ、ちょっといびつな丸いクッキー。
「マフィンのにおいで、ママのこと思い出した日」
「……うん。泣いちゃった日だ」
歩は空を見上げた。
あの日の甘い匂いと、涙。
そして、やさしい手。
お迎えの時間、園の門のところで、
ユイの母・ミハルが蘭に声をかけた。
「蘭さん……あのね。
ユイと歩くん、2人だけでピクニック、どうかしら?」
「ピクニック?」
蘭が目を瞬かせると、ミハルは少し照れたように笑った。
「引っ越しの前に……ユイ、歩くんと“ふたりの思い出”を作りたいみたいでね。
わたしがそばで見てるから、よかったらどうかなって」
蘭は少し驚いた後、優しく微笑んだ。
「それ、すてきですね。
歩も、きっとすごく喜ぶと思います」
数日後の休日の朝。
空は薄い水色で、やさしい春の風が吹いていた。
コモレビ川のほとりにある、小さな公園。
木陰のベンチの近くに、シートが敷かれている。
「歩くん、こっちよ〜!」
先に来ていたユイが、大きく手を振った。
隣にはバスケットを持ったミハルが立っている。
「おはようございます!」
歩は少し緊張しながら走り寄った。
「歩くん、今日は来てくれてありがとうね」
ミハルは柔らかく笑い、バスケットを軽く持ち上げる。
「今日はね、ユイと歩くんの“ふたりピクニック”…
私は、ちょっと離れたベンチから見守ってるわ」
「ふ、ふたりで?」
歩は照れくさくて、耳まで赤くなった。
ユイはそんな歩を見て、くすっと笑う。
「だいじょうぶだよ、歩くん。
お母さん、ちょっと本読んでるだけだから」
ミハルは「じゃあ、いってらっしゃい」と言いながら、
ベンチへと向かっていった。
川のそばに敷いたレジャーシートの上で、
ユイはバスケットのふたをそっと開けた。
中には、
・たまごサンドとハムチーズサンドのサンドイッチ
・小さなおにぎり(しゃけとこんぶ)
・手作りのまるいクッキー
「わぁぁ……!」
歩の目がきらきらした。
「おいしそうだろう?」と、なぜか少しカッコつけた声を出してしまい、
自分でも恥ずかしくなって口を押さえる。
ユイはクスクス笑いながら、サンドイッチをひとつ渡した。
「たまご、好きだったよね?」
「うん!」
歩はサンドイッチを大きくかじった。
ふわふわのパンと、やさしい味のたまご。
「……おいしい!」
「よかった」
ユイも、おにぎりを小さくひとくち。
「ねぇ、歩くん」
「ん?」
「覚えてる? はじめて一緒にクッキー作った日」
そう言って、ユイはバスケットからクッキーを取り出す。
それは、あのときと同じ、ちょっといびつな丸いクッキー。
「マフィンのにおいで、ママのこと思い出した日」
「……うん。泣いちゃった日だ」
歩は空を見上げた。
あの日の甘い匂いと、涙。
そして、やさしい手。