こもれび日和
歩もユイも、
ただただ、その光景に見入った。
「……ほんとに、虹ってあるんだね」
ユイがぽつりと言う。
「うん。えほんの中だけじゃなくて……
ちゃんと、ほんものがあるんだ」
歩の声は、いつもよりずっと静かで、
でも、しっかりしていた。
風がふいて、
濡れた草の匂いがふわっと立ちのぼる。
虹は、
コモレビ川の向こう岸から、
ずっとずっと遠くまで、
大きな橋みたいに伸びていた。
「歩くん」
「なに?」
「わたし、ミドリカワ町に行ってもさ……
きっと、また虹見たら、今日のこと思い出すと思う」
ユイは虹から目を離さないまま、
そう言った。
歩は、胸の中にあった“小さな石”が、
少しだけ丸くなったような気がした。
「ぼくも……。
ユイちゃんが、遠くに行っても……
同じ空、見てるんだなって思う」
ユイは、そっと笑った。
「うん。空はつながってるからね」
虹の向こうには、
まだ見ぬミドリカワ町があるかもしれない。
ここコモレビ村と、ユイの新しい町。
そのあいだに、
一瞬だけかかった光の橋。
ふたりは並んで立ち、
その虹がゆっくり薄くなっていくまで、
ずっとずっと見上げていた。
少しさみしくて、でも、とてもあたたかい――
ユイと歩だけの、特別なピクニックの一日だった。
ただただ、その光景に見入った。
「……ほんとに、虹ってあるんだね」
ユイがぽつりと言う。
「うん。えほんの中だけじゃなくて……
ちゃんと、ほんものがあるんだ」
歩の声は、いつもよりずっと静かで、
でも、しっかりしていた。
風がふいて、
濡れた草の匂いがふわっと立ちのぼる。
虹は、
コモレビ川の向こう岸から、
ずっとずっと遠くまで、
大きな橋みたいに伸びていた。
「歩くん」
「なに?」
「わたし、ミドリカワ町に行ってもさ……
きっと、また虹見たら、今日のこと思い出すと思う」
ユイは虹から目を離さないまま、
そう言った。
歩は、胸の中にあった“小さな石”が、
少しだけ丸くなったような気がした。
「ぼくも……。
ユイちゃんが、遠くに行っても……
同じ空、見てるんだなって思う」
ユイは、そっと笑った。
「うん。空はつながってるからね」
虹の向こうには、
まだ見ぬミドリカワ町があるかもしれない。
ここコモレビ村と、ユイの新しい町。
そのあいだに、
一瞬だけかかった光の橋。
ふたりは並んで立ち、
その虹がゆっくり薄くなっていくまで、
ずっとずっと見上げていた。
少しさみしくて、でも、とてもあたたかい――
ユイと歩だけの、特別なピクニックの一日だった。