こもれび日和
打ち合わせの帰り道、
駅のホームで蘭にメッセージを送る。

『本、出せることになりそう』

返信はすぐに来た。

『おめでとうございます!!
今、声出しそうになりました』

そして、その数日後。

今度は蘭の番だった。

夜、自分の部屋で、
締め切り前に書き上げた長編のコピーを
ぼんやり眺めていた時。

ポストに投函されていた
白い封筒を開けた瞬間、
視界がぐにゃりと歪んだ。

『貴作「匂いの記憶の在りか」は
 新人賞を受賞されました』

文字が、涙でにじむ。

手が震えた。

(嘘……)
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