こもれび日和
「……女の子って……言ってましたよね……」

医師は静かにうなずいた。

「……ごめんなさい……守れなかった……」


「謝らないで……蘭さんは何も悪くない」

だが、その言葉は
当時の蘭の耳には届かなかった。


蘭はそれから、
まるで光が差さない洞窟に閉じこもるように
部屋で過ごすようになった。

カーテンを閉め切り、
食事もほとんど喉を通らない。


「蘭さん……一緒に食べよう?」


「……いいの。お腹、空かないから」


「外、少し散歩しない?」


「……わたし、外に出られるような気持ちじゃないの」

蘭の声はかすれていた。
その目は、どこにも焦点が合っていなかった。

律はそばにいたかったが、蘭はは誰とも話したがらない日が続いた。
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