こもれび日和
律が気づいたのは日曜の朝だった。

寝室は空っぽ。
蘭のカバンと、数枚の服がなくなっていた。


「……蘭!?」

急いで玄関へ走ると、
置き手紙があった。

〈ごめんなさい。わたし、ここにいるのが苦しい〉
〈律さんのそばにいる資格なんてない〉

文字は震えて、涙の跡でにじんでいた。


「そんなわけ……あるわけないだろ……」

すぐに靴を履き、コモレビ村の道へ飛び出した。

蘭は、村外へ向かうバス停にいた。
大きなマスクで顔を隠し、カバンを抱きしめて震えている。

「……わたしは、赤ちゃんも守れなかった……
律さんの幸せを奪ってばかり……」
< 67 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop