こもれび日和

ようこそ

「……ごめんね。守れなくて……
 でも……来てくれてありがとう。
 お母さん、お父さん、あなたのこと忘れないからね」

涙を落とす蘭の背を、
律は静かに抱いた。


「この桜、毎年見に来よう」

「うん……」

丘の風がそよぎ、
小さな苗木は、これからの季節を受け止めるように揺れた。


供養から数か月後。

蘭は以前より表情が柔らかくなり、
律と並んで散歩できるようになった。

しかし、赤ちゃんのことは
まだ胸の奥に重く残っていた。

ある晩。
2人が桜の丘からの帰り道を歩いていたとき――
蘭はふと呟いた。

「わたし……まだ“お母さんになりたい”って思ってるのかな……」


「蘭さん……」


「でも、また失ったらって思うと怖い。
 身体のこともあるし……
 わたし、自分の子を産むのが怖いの」

律は立ち止まり、
蘭の手をそっと握った。
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