篠田くんと御坂くん




 今日の総合の授業はいつもと少し違っていた。
 ランダムでペアになった二人組が、お互いのことを話し合う、とういう会話の訓練。

 くじを引いた私は御坂くんとペアになった。

 御坂秀二くん。
 図書委員でいつも一緒になる、黒髪の本好きの男の子だ。
 私と同じく超優秀で、彼も、冷血人間と言われることがある。
 図書委員の時は当たり障りのない会話をしているけど、この人、何考えてるのか分かんないんだよな。
 重い本を運んでくれたり、オススメの本を教えてくれたりする。
 腹の探りあい。別に興味がある訳じゃない。


「浅田って何考えて生きてる人?」

 
 向かい合った座席で、御坂くんは総合の教科書を手に尋ねた。

 
「特には。その都度その都度だよ。」


 私が言うと、御坂くんは教科書をぱらぱらやりながら。

 
「前から興味あったんだ。浅田とわ。」

 そして

 
「図書委員の時喋って気付いた事がある。あんた、周りのこと馬鹿だと思ってるでしょ。」

「え」


 メンチ寄りの問いかけに思わず二の句がつげないでいると、御坂くんはくすくす笑いながら。


「俺もおんなじ事思う時あるんだ」

「へ、へえ」

「合うと思うよ、ウマ」


 何この人腹黒い?。
 
 御坂くんがまた口を開きかけた時、視界がさっと影になった。


「そこ。いちゃいちゃしないでくださーい」


 大声を出す時の様に口に手をやって現れたのは篠田くんだった。

「は」

「そこ。浅田。御坂。秀才同士のいちゃいちゃしないでくださーい。頭良いからって調子に乗らないでくださーい。」

 席を立ってやって来た篠田くんに、先生が注意をすると、篠田くんは御坂くんに、

「頭良いからって調子乗んな」

 と繰り返した。
 御坂くんは眉ひとつ動かさずに、口を開いて。

「馬鹿は死にな」

「あってめ言ったな。」


 ぎゃあぎゃあ言い出した篠田くんを、私は半笑いで眺めていた。



 
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