契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜
 目の前にいる艶やかな中年女性が私を見るなり話しかけてくる。

「森田夫人。以前1度お会いしたことがありますが、白川緋色と申します。申し訳ございませんが、日陰は私の妻なので森田家に嫁ぐことはありませんよ」

 緋色は私と彼女の間に入って、鋭い口調で言い返した。

「スカーレットホテルグループの白川社長ですね。お母様の具合は大丈夫? 英雄色を好むというのを、親子でこうも見せられると心配になるわ。日陰さんは美しいから当然手をつけたくなるわよね。でも、この子はもう代わりのいない特別な子だから、他で発散してくださいね。お母様のように壊されては堪りませんもの⋯⋯」

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