契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜
 私は緋色のご両親にはあったことがない。
彼が私をご両親に会わせないのは、きっと理由があると思い指摘したことはなかった。

 そして、なぜ今、森田蓮の母親はこんな緋色を傷つけたくて堪らない顔をしているのだろう。
 明らかに緋色は彼女の言葉に傷ついていて、いつもと様子が違う。

「森田夫人、私は白川緋色の妻でひなたの母親です。息子さんも何十億人も女がいるのに、いとこと結婚などしたくないと思ってますよ。この花瓶の水を取り替えたので、どうぞ息子さんのところにお持ちください」

 私は持っていた花瓶を森田櫻子に押し付けると、無言の緋色の手を引いて止まっている送迎車の元に急いだ。

< 359 / 424 >

この作品をシェア

pagetop