絶対恋度
いまから鍋パでもするの?ってわけにはならない。だって、わたしが知る限り友人と彼氏の間に接点はなかったし、今日の鍋パは予定には組み込まれていなかった。
それから始まった二人の白々しい説明はまるで滅びの呪文のようだった。こじつけた理屈を正論や綺麗事のように言われても、呆れるしか出来なかった。
「(なにやってんだろ、わたし……)」
勢いまかせに家を出たまではいい。今現在わたしの全財産は、これから海外旅行にでも行くのかって大きさのキャリーケースひとつ分。そして目下の問題はこれだ。
「まってわたし、今夜の宿無くない……!?」
冷たい夜風が頬を撫ぜる。今から実家に帰るにしてもこんな時間にこの大荷物で帰宅したら心配されるだろう。それになにより受験生の妹に迷惑や心配はかけたくない。今が大事な時期だ。本人たちは気にしないだろうけど、わたしの中の長女の部分がダメだという。
「絃葉〜!!ちょっと、話聞いて!」
藁にもすがる思いで、いちばん信頼している友人に電話をかけると、さすが絃葉はワンコールで出てくれた。
「は?俺今から飲む予定。彼氏に話聞いてもらえ」
スマホから聞こえるのは、いつも通りのフラットな声だった。