佐倉くん、好きじゃないのにその気にしないで
「言い訳は後で聞きまーす。あ、えと……坂守(さかもり)彩さん、羽衣ちゃん持ってっていい??」

……羽衣、ちゃん??
持って……いく?

「え、いいけ、ど……や、やっぱだ……」
「いいねー、ありがとー」

ダメと言いかけた彩ちゃんを無視し、私の手を引いて佐倉くんは歩き出した。
歩けばざわざわする廊下。

皆の困惑の声や悲鳴が聞こえる。
けど、そんなことが気にならないくらいに。

『羽衣ちゃん』

そう言われたことに、戸惑いつつも、嬉しく思った。
好きな人に……名前、読んでもらえるのって……嬉しすぎるっ……。

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