わがまま姫のりんごパイ
 それを聞いたわがまま姫は、すぐにお城の家来たちに、めいれいしました。

「町じゅうの材料を、あつめてきなさい! あした、お庭で世界一大きなりんごパイを、つくるのです!」

 家来たちは、こまりはてましたが、姫にはさからえません。
 村へいって、材料をのこらず集めることにしました。
 お城のものが村に現れると、村人たちは、呆れて言います。

「またわがまま姫の、ワガママが始まった」

「今度は何だい? 世界一大きな リンゴパイを作るって」

 お城の者たちは、村から小麦粉やリンゴを、「すっかり」持って行ってしまいました。
 
「これじゃあ、わたしたちの 食べるものが ないよ……」

 村人たちは、みんな泣きそうな顔で、からっぽになった倉庫を見つめるのでした。 

 ――その日の夜。 お城のベッドの中で、わがまま姫はパチリと目を覚ましました。

 明日のおっきなりんごパイを楽しみにするあまり、夕食をうっかり食べそびれてしまい、なんだかお腹がすいて、眠れなくなってしまったのです。

「だれか、何か食べるものを持ってきて……」

 けれど、明日の大仕事の準備で疲れ果てた家来たちは、だれも起きてきません。

 お腹をすかせたわがまま姫が、ふとお城の窓から外の森を見つめると、暗闇の中にぽつんと、あたたかい明かりが灯っているのが見えました。

 わがまま姫は思いました。

「なぜかしら。街ではなく、森の方から明かりが見えるわ……。ははん、きっと村の人たちが、こっそりおいしいものを食べているんだわ!」

 お腹がペコペコのわがまま姫は、お城をこっそり抜け出し、いい匂いが漂ってくる夜の森へと向かいました。

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