婚約破棄の断罪裁判を開いた王太子、証言で全て自分の首を絞める【短編】

 三人目。

「ディアナさん……! あなたもなの……!?」 

 シャルロッテは目を見張って、一層大きな驚きの声を上げる。彼女の一番の親友――ディアナ子爵令嬢が出てきたのだ。

 昨日までは楽しくお茶をしていたのにあっさりと裏切られて、ショックで口元にあてていた指先がカタカタと震えた。

 ディアナは無表情で侯爵令嬢を一瞥すると、すぐに視線をまっすぐに国王へ向けてカーテシーをした。

「シャルロッテは、意図的にローゼを孤立させたのだな?」と、王太子がドヤ顔で言う。

 子爵令嬢は悲しげに長い睫毛を伏せて、

「たしかに……周囲は男爵令嬢と距離を置くようになりました」

 ローゼは王太子だけでは物足りないようで、他人の婚約者にも色目を使っていた。
 さらに既婚の貴族男性にまで媚びて、それを非難した令嬢を「意地悪された」と王太子に言い付けていたのだ。

 令嬢たちは困り果て、王太子の婚約者である侯爵令嬢に相談した。
 しかしシャルロッテは残念そうに首を横に振って、

「殿下の名前を出すから、軽はずみに手を出せないわね……。申し訳ないけど、わたくしの身分でもどうしようも出来ないわ。だからもう、ローゼさんとは関わらない方がいい。力になれずにごめんなさい」

 シャルロッテはこれ以上被害が広がらないように忠告しただけで、男爵令嬢を孤立させるよう指示していない。

 国王の瞳が、怒りで真っ赤に燃えはじめる。
 だが、王太子はそんな父の変化など気付かず、得意満面に侯爵令嬢を責め立て続ける。

「まさかシャルロッテがこのような卑劣な女だなんて。こんな女が国母として務まるはずがない!」

「お前は何を言っているのだ……」

 国王の全身の皮膚の表層から憤怒のオーラが湧き出てくるが、やはり王太子は気付かなかった。



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