両思いでしたがタイムトリップして、敵国の王子と王女になりました!?
よしよし
連くんが用意してくれたお茶を飲みながら、四人はそれぞれ席へ座る。
ソファには、私と連くん。
そしてテーブルの上にある妖精用の椅子に、ロロとネネちゃんが座っている。
妙な沈黙が続く中「それで」と。
連くんが、口を開いた。
「まずは、ネネの話から聞こうか。
今回の招待状の件について、何やら知ってそうだからね」
「! う、うん……」
ビクリと肩を震わせたネネちゃん。
ゴクリと生唾を呑み込んだと思ったら、重たい口を、少しずつ開いた。
「招待状について書いてあるレンの手紙を、ロロに渡した帰り道。
変な声が聞こえたの」
「声?」
連くんが、首を傾げる。
ネネちゃんは「上手く言えないんだけど」と、自分の足を見ながら、俯いて話した。
その様子を、ロロが怖い顔をして見ているのに、私は気づく。
「ロロ、どうしたの? なんか怖いよ?」
「え、あ……。なんでもねーよ」
「そう……?」
なんでもないって顔ではないけど……。
ロロはネネちゃんの話が気になるのか、先を促した。
「で、なんて声が聞こえたんだよ」
「えっとね……」
――君が本当にしたい事は、なんですか?
「そう、聞こえたの。
怖い声じゃなくて、優しい声だった」
「優しい声ねぇ」
ロロが反復する。
何かを考えてる言い方だなぁ。
そんな事を思っていると、連くんがネネちゃんに尋ねる。
「どうして、その声はネネに”したい事はなに?”なんて聞いたのかな」
「え……」
「それを聞いて、ネネは何をしたの?」
「それは……」
連くんからの質問に、ネネちゃんは、また肩を震わせた。
なんだか、ネネちゃんが責められているようにも見えて……。
私は自分の指先を、ネネちゃんの肩にちょいと触れる。
「ネネちゃん、大丈夫だよ」
「! な、なにが……」
「ここにいる皆は、ネネちゃんの味方だから。
だから、そんなに怯えないで。ね?」
「味方って……」
ネネちゃんは、一瞬にして泣きそうな顔になる。
え、私、なにかいけないことを言った?
すると、ロロが「言えるわけねーよな」と、ため息をつく。
「味方を裏切ったなんて、言えるわけねーよな?ネネ」
「!」
「え……?」
「裏切った?
どういうことかな、ネネ?」
するとネネちゃんは「ごめんなさい」と、謝りながら泣いてしまった。
そして、そんなネネちゃんに代わるように。
ロロが「俺から話す」と。
さっきネネちゃんに聞いた真相を、私たちに話してくれた。
「ハート国の文がスター国に届かなかったのは、ネネの仕業だ」
「え?」
「ネネは、ハート国が送った文を盗んだ。
後は焼くなり煮るなり――で、もうこの世にはないだろ。とっくに捨ててるはずだ」
「ネネちゃんが、文を捨てた……?」
でも。
なんで。
どうして――
そんな言葉が、頭の中をグルグル回る。
だって、ネネちゃんは優しい女の子だって、そう思っていたから。
すると、ネネちゃんが、自分の肩に触れていた私の指をパシンと叩く。
そして、泣きながら大きな声を出した。
「どうして、って顔をしてるよね。
でも……仕方ないじゃん。
だって、私……
レンの事が、好きなんだもん……!!」
「ネネちゃん……」
やっぱり、そうだったんだね、と思った私とは反対に。
連くんは初めて知ったのか「え」と、驚いた声を出していた。
「え……。ネネが、俺の事を好き?」
「レン、気づかなかったのかよ。鈍すぎだぜ」
ロロに指摘され、連くんは「うッ」と口を閉じた。
そのころ合いを見計らったかのように。
ネネちゃんは、再び話し始めた。
「私、レンに会った時から、だんだんとレンに惹かれていったんだよ。
なのに、レンはいつも”ミア、ミア”って。
全然、私の事を見てくれない。
そればかりか!
私に能力を使わせて、手紙まで届けさせた!
私はレンの事が好きなのに、どうして二人がくっつく手助けをしないといけないの~!!」
「ひどすぎるよー!!」と、泣いたネネちゃん。
確かに、ネネちゃんの恋心に気付かなかったばかりに、連くんのすることなすこと、全て裏目に出てる感じがする。
「ネネちゃん、辛かったね……」
「あんたは今、何も話さないで!!」
「は、はい!」
すごい勢いで睨まれた!
しまった。私は今、火に油と同じだ。
ネネちゃんが落ち着くまで、静かにしていよう……。
「私は、ずっとレンが好きだった……。
でもミアと出会って、失恋して。
もう何もかもが嫌だって、そう思ってたの。
そこに、都合よく、あんな声が流れたら……。
誰だって意地悪しようって、そんな気になるでしょー!?」
――君が本当にしたい事は、なんですか?
「私が本当にしたい事。
そんなのは、決まってる……。
ミアとレンが、ひっつかないようにすること。
だから文を捨てたの。
二人の邪魔をしたの!
こんな私の、どこが味方っていうのよー!」
また「うわ~ん」と涙を流すネネちゃん。
つられて泣いていると「あんたは泣くな―!」と怒られた。
う、厳しい……!
すると、頭の整理でもしていたのか。
今まで静かだったレンくんが「そうか」と視線を下げたまま話す。
「知らなかったこととは言え、俺はネネにひどい事をしてきたね。
ごめんね、ネネ。
本当に、ひどい事をした。
君の気持ちを、知ろうともしないで」
「うぅ、レン……。
そんな優しい言葉、かけないでよ。
だって私、皆を裏切ったんだよ?
ミアなんて、死にかけたんだよ!?
レンが私を怒るのは、仕方ないっていうか……当たり前のことだよ。
嫌われる事をした。
もう仲間でも、味方でも、何でもない。
私は、ただの厄介そのものだよ」
ネネちゃんは、だんだん沸騰したお湯が覚めていくように。
シュウ~と湯気が頭から出て行くように。
冷静さを取り戻した話し方になる。
「レン。私、もうレンのそばにいられない。
ごめんね、こんな妖精で」
そう言って、すぐに飛び立とうとするネネちゃん。
そんな彼女の小さな手を、連くんは器用に掴んだ。
パシッ
「何言ってるの、ネネ」
「レン……?」
ビックリした顔のネネちゃんに、優しく微笑む連くん。
「ネネの能力は、まだ発動されたままだ。
本当に”味方じゃない”と思っているなら……
もう、とっくに解除してるでしょ?」
「それは……」
「ネネは厄介なんかじゃない。
自分が苦しい状況にあっても俺たちを助けてくれる、そんな心の優しい女の子だよ」
「ッ!」
ネネちゃんの大きく開かれた瞳から、大粒の涙が零れ落ちた。
ポロポロ、ポロポロ。
それは、後から後から溢れ出てきて――
すぐには止まりそうにない。
「私……レンの傍にいたかった」
「うん」
「これからも、きっとレンを好きでい続けると思う」
「うん」
「それでも、私……レンの近くにいていいの?」
「うん、いいんだよ」
だから、どこにも行かないで。ネネ――
連くんにそう言われて、ネネちゃんは連くんに飛びついた。
「レン~!」と、むせかえるほど泣いている。
「ごめんね、レン。ごめんねぇ!」
「ううん、俺の方こそごめんね。
ネネ、いつもありがとう。
これからも、よろしくね」
するとネネちゃんは、弾けんばかりの笑みで「うん!」と答えた。
その様子に感動して、また涙を流す私。
そんな私の元に、ネネちゃんは飛んできてくれた。
「あんたにも、危ない目に遭わせて悪かったと思ってる」
「ネネちゃん……」
「でも、レンの隣にいるのがあんたってのは気に食わない。
だから――
いつか、レンを奪って見せるんだからね!
覚悟しててよね!」
「うん、うん!
分かったよ、ネネちゃん!」
「絶対に分かってないでしょ!
キー、ムカつく!!」
そうして、ネネちゃんは全ての事を話して、事件は解決した。
かのように思われた。
だけど――
「じゃあ、そろそろ俺が話してもいいか?」
「ロロ?」
そう言えば、ロロも「話がある」って言ってたんだっけ。
何の話なんだろう?
「まだ何か問題が残ってたっけ?」
「大ありだろ。
誰がネネにけしかけたのか。
謎の声は誰なのか」
「あ」
そうだった!
ネネちゃんを、こんなに苦しめた謎の声!
「私、謎の声に出会ったら、絶対何回でも謝らせるからね!」
意気込む私。
だけど、ロロは「無理かもな」と。
どこか落ち込んだように答えた。
「どうして無理って分かるの、ロロ。
もしかして……
声の主が誰だか、もう分かってる?」
「……」
連くんの言葉に、ロロは眉をピクリと動かした。
そして――
「分かってるよ」
苦しそうに、そう呟いた。
「その声の主は――
俺やネネという“妖精”を作った人物だ。
そして、それは誰かって言うと……
ダイア国の、王様だ」
ソファには、私と連くん。
そしてテーブルの上にある妖精用の椅子に、ロロとネネちゃんが座っている。
妙な沈黙が続く中「それで」と。
連くんが、口を開いた。
「まずは、ネネの話から聞こうか。
今回の招待状の件について、何やら知ってそうだからね」
「! う、うん……」
ビクリと肩を震わせたネネちゃん。
ゴクリと生唾を呑み込んだと思ったら、重たい口を、少しずつ開いた。
「招待状について書いてあるレンの手紙を、ロロに渡した帰り道。
変な声が聞こえたの」
「声?」
連くんが、首を傾げる。
ネネちゃんは「上手く言えないんだけど」と、自分の足を見ながら、俯いて話した。
その様子を、ロロが怖い顔をして見ているのに、私は気づく。
「ロロ、どうしたの? なんか怖いよ?」
「え、あ……。なんでもねーよ」
「そう……?」
なんでもないって顔ではないけど……。
ロロはネネちゃんの話が気になるのか、先を促した。
「で、なんて声が聞こえたんだよ」
「えっとね……」
――君が本当にしたい事は、なんですか?
「そう、聞こえたの。
怖い声じゃなくて、優しい声だった」
「優しい声ねぇ」
ロロが反復する。
何かを考えてる言い方だなぁ。
そんな事を思っていると、連くんがネネちゃんに尋ねる。
「どうして、その声はネネに”したい事はなに?”なんて聞いたのかな」
「え……」
「それを聞いて、ネネは何をしたの?」
「それは……」
連くんからの質問に、ネネちゃんは、また肩を震わせた。
なんだか、ネネちゃんが責められているようにも見えて……。
私は自分の指先を、ネネちゃんの肩にちょいと触れる。
「ネネちゃん、大丈夫だよ」
「! な、なにが……」
「ここにいる皆は、ネネちゃんの味方だから。
だから、そんなに怯えないで。ね?」
「味方って……」
ネネちゃんは、一瞬にして泣きそうな顔になる。
え、私、なにかいけないことを言った?
すると、ロロが「言えるわけねーよな」と、ため息をつく。
「味方を裏切ったなんて、言えるわけねーよな?ネネ」
「!」
「え……?」
「裏切った?
どういうことかな、ネネ?」
するとネネちゃんは「ごめんなさい」と、謝りながら泣いてしまった。
そして、そんなネネちゃんに代わるように。
ロロが「俺から話す」と。
さっきネネちゃんに聞いた真相を、私たちに話してくれた。
「ハート国の文がスター国に届かなかったのは、ネネの仕業だ」
「え?」
「ネネは、ハート国が送った文を盗んだ。
後は焼くなり煮るなり――で、もうこの世にはないだろ。とっくに捨ててるはずだ」
「ネネちゃんが、文を捨てた……?」
でも。
なんで。
どうして――
そんな言葉が、頭の中をグルグル回る。
だって、ネネちゃんは優しい女の子だって、そう思っていたから。
すると、ネネちゃんが、自分の肩に触れていた私の指をパシンと叩く。
そして、泣きながら大きな声を出した。
「どうして、って顔をしてるよね。
でも……仕方ないじゃん。
だって、私……
レンの事が、好きなんだもん……!!」
「ネネちゃん……」
やっぱり、そうだったんだね、と思った私とは反対に。
連くんは初めて知ったのか「え」と、驚いた声を出していた。
「え……。ネネが、俺の事を好き?」
「レン、気づかなかったのかよ。鈍すぎだぜ」
ロロに指摘され、連くんは「うッ」と口を閉じた。
そのころ合いを見計らったかのように。
ネネちゃんは、再び話し始めた。
「私、レンに会った時から、だんだんとレンに惹かれていったんだよ。
なのに、レンはいつも”ミア、ミア”って。
全然、私の事を見てくれない。
そればかりか!
私に能力を使わせて、手紙まで届けさせた!
私はレンの事が好きなのに、どうして二人がくっつく手助けをしないといけないの~!!」
「ひどすぎるよー!!」と、泣いたネネちゃん。
確かに、ネネちゃんの恋心に気付かなかったばかりに、連くんのすることなすこと、全て裏目に出てる感じがする。
「ネネちゃん、辛かったね……」
「あんたは今、何も話さないで!!」
「は、はい!」
すごい勢いで睨まれた!
しまった。私は今、火に油と同じだ。
ネネちゃんが落ち着くまで、静かにしていよう……。
「私は、ずっとレンが好きだった……。
でもミアと出会って、失恋して。
もう何もかもが嫌だって、そう思ってたの。
そこに、都合よく、あんな声が流れたら……。
誰だって意地悪しようって、そんな気になるでしょー!?」
――君が本当にしたい事は、なんですか?
「私が本当にしたい事。
そんなのは、決まってる……。
ミアとレンが、ひっつかないようにすること。
だから文を捨てたの。
二人の邪魔をしたの!
こんな私の、どこが味方っていうのよー!」
また「うわ~ん」と涙を流すネネちゃん。
つられて泣いていると「あんたは泣くな―!」と怒られた。
う、厳しい……!
すると、頭の整理でもしていたのか。
今まで静かだったレンくんが「そうか」と視線を下げたまま話す。
「知らなかったこととは言え、俺はネネにひどい事をしてきたね。
ごめんね、ネネ。
本当に、ひどい事をした。
君の気持ちを、知ろうともしないで」
「うぅ、レン……。
そんな優しい言葉、かけないでよ。
だって私、皆を裏切ったんだよ?
ミアなんて、死にかけたんだよ!?
レンが私を怒るのは、仕方ないっていうか……当たり前のことだよ。
嫌われる事をした。
もう仲間でも、味方でも、何でもない。
私は、ただの厄介そのものだよ」
ネネちゃんは、だんだん沸騰したお湯が覚めていくように。
シュウ~と湯気が頭から出て行くように。
冷静さを取り戻した話し方になる。
「レン。私、もうレンのそばにいられない。
ごめんね、こんな妖精で」
そう言って、すぐに飛び立とうとするネネちゃん。
そんな彼女の小さな手を、連くんは器用に掴んだ。
パシッ
「何言ってるの、ネネ」
「レン……?」
ビックリした顔のネネちゃんに、優しく微笑む連くん。
「ネネの能力は、まだ発動されたままだ。
本当に”味方じゃない”と思っているなら……
もう、とっくに解除してるでしょ?」
「それは……」
「ネネは厄介なんかじゃない。
自分が苦しい状況にあっても俺たちを助けてくれる、そんな心の優しい女の子だよ」
「ッ!」
ネネちゃんの大きく開かれた瞳から、大粒の涙が零れ落ちた。
ポロポロ、ポロポロ。
それは、後から後から溢れ出てきて――
すぐには止まりそうにない。
「私……レンの傍にいたかった」
「うん」
「これからも、きっとレンを好きでい続けると思う」
「うん」
「それでも、私……レンの近くにいていいの?」
「うん、いいんだよ」
だから、どこにも行かないで。ネネ――
連くんにそう言われて、ネネちゃんは連くんに飛びついた。
「レン~!」と、むせかえるほど泣いている。
「ごめんね、レン。ごめんねぇ!」
「ううん、俺の方こそごめんね。
ネネ、いつもありがとう。
これからも、よろしくね」
するとネネちゃんは、弾けんばかりの笑みで「うん!」と答えた。
その様子に感動して、また涙を流す私。
そんな私の元に、ネネちゃんは飛んできてくれた。
「あんたにも、危ない目に遭わせて悪かったと思ってる」
「ネネちゃん……」
「でも、レンの隣にいるのがあんたってのは気に食わない。
だから――
いつか、レンを奪って見せるんだからね!
覚悟しててよね!」
「うん、うん!
分かったよ、ネネちゃん!」
「絶対に分かってないでしょ!
キー、ムカつく!!」
そうして、ネネちゃんは全ての事を話して、事件は解決した。
かのように思われた。
だけど――
「じゃあ、そろそろ俺が話してもいいか?」
「ロロ?」
そう言えば、ロロも「話がある」って言ってたんだっけ。
何の話なんだろう?
「まだ何か問題が残ってたっけ?」
「大ありだろ。
誰がネネにけしかけたのか。
謎の声は誰なのか」
「あ」
そうだった!
ネネちゃんを、こんなに苦しめた謎の声!
「私、謎の声に出会ったら、絶対何回でも謝らせるからね!」
意気込む私。
だけど、ロロは「無理かもな」と。
どこか落ち込んだように答えた。
「どうして無理って分かるの、ロロ。
もしかして……
声の主が誰だか、もう分かってる?」
「……」
連くんの言葉に、ロロは眉をピクリと動かした。
そして――
「分かってるよ」
苦しそうに、そう呟いた。
「その声の主は――
俺やネネという“妖精”を作った人物だ。
そして、それは誰かって言うと……
ダイア国の、王様だ」