ただ君を愛したいだけ
申し訳なくて改めて謝罪すると、彼は首を横に振る。


「俺も陽菜ちゃんと話ができて楽しいから問題ない」


陽菜はなにを話したのだろう。

パパの写真を見せたこともないし、いないんだよと簡単に伝えてあるだけ。
智治さんがパパだとはわからないはずだけど……。


「事故の処理も警察のほうで進めてもらってる。高齢者がブレーキとアクセルを踏み間違えたらしい」


最近、そうした事故のニュースをよく聞くけれど、まさか自分の身に降りかかるとは思ってもいなかった。


「俺、偶然暴走車のうしろを走ってて」


そんな偶然があるとは。
彼と付き合っていた頃とはまったく別の地域に住んでいるのに。

ただ、彼は仕事で都内を走り回っているだろうから、ありえなくもない。


二度と会わないようにするためにも、別の県に引っ越すべきだっただろうか。

でも、陽菜がお腹にいるとわかっていろいろ調べたら、子育て支援が一番充実しているのが東京だったのだ。

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