ただ君を愛したいだけ
そこに私たちの間に生まれた子がいたら最高だと――。

夫婦になると決めたら、未来が無限に広がったのだ。


「このマンションも気に入ってるんだけど、子供には裸足で大地を踏みしめさせてやりたいんだ。大人になると、羽目を外せなくなる。小さいうちにできる経験は全部させてあげたい」


まさか彼が、子育てについてこれほど深く考えているとは思わなかった。

でも、その気持ちは少しわかるかも。

由緒正しき家の長男として生まれ、将来は父が経営する会社を継ぐことが決まっており……〝品行方正〟であることを求め続けられてきた彼には、そうした自由がなかったのだろう。


「それ、賛成。庭に笑い声が広がったら幸せだよね、きっと」


未来に思いを馳せることが、これほど幸せだとは知らなかった。


「瑞葉が隣にいてくれたら、幸せになれる。いや、俺が瑞葉を幸せにする」
「智治(ともはる)さん……」


力強い言葉がうれしくて彼を見つめると、真摯なまなざしに捕まり、そらせなくなる。


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