ただ君を愛したいだけ
ひとり親でも絶対に泣かせないと決めて出産したのに、つらい思いをさせてしまった自分がふがいなくて、視界がにじむ。

自分のせいではないとわかっていても。


「陽菜ちゃんは大丈夫だ。ママが早く元気にならないと心配するぞ。今瑞葉にできるのは、ゆっくり休んで健康を取り戻すこと。今日は面会時間が終わってしまうけど、明日は会える。約束だ」


智治さんは私の右手の小指に、強引に自分の小指を絡ませる。


「はい」
「それじゃあ、お迎えに行ってくる。これ、俺の連絡先。個室なら電話してもいいそうだから、陽菜ちゃんをピックアップしたら電話を入れるよ。声、聞かせてあげて」
「もちろんです」


涙をこらえて返事をしたあと、私の連絡先も伝えた。

別れた直後に電話番号もメールアドレスも変えてしまったからだ。


「それじゃあ、ゆっくり休むんだよ」


彼は私に優しい言葉をかけてから出ていった。


「どうして……」


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