ただ君を愛したいだけ
『えへへ。ママだいしゅきだって』


ちょっと照れたような声で智治さんに報告している陽菜の顔が浮かび、ほっこりする。
早く会いたい。


『そりゃあそうだよ。陽菜ちゃんはママの一番なんだよ。陽菜ちゃんもママが好きでしょ?』

『うん、だーいしゅき!』

『瑞葉。陽菜ちゃんは元気だから心配しないで。今日はゆっくり休んで』


陽菜から電話を代わった智治さんにそう言われて、無意識にうなずいていた。


「ありがとうございます。本当に助かります」
『他人行儀だな。気にしなくていい。それじゃあ』


切れた電話を見つめ、しばらく放心する。


「だって、他人だもの」


人生のパートナーになるはずだったのに、こんなに距離ができてしまった。


「及川さん、お食事の時間です」


廊下がざわつきだしたと思ったら、食事が運ばれてきた。


「ありがとうございます」
「ベッドを上げてみましょうか」
「はい」


鎮痛剤のおかげか、体の重さが軽減している。

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