ただ君を愛したいだけ
けれど、陽菜の前でナースコールをして鎮痛剤を追加してもらうのもはばかられて、笑顔を作っていたのに。


「ママ、また会えりゅ?」


眉間にしわを寄せる陽菜は、小さな手で私の手をギューッとつかんで聞いてくる。

いくら楽しい時間を約束されても、まだまだ母親が恋しい年頃だ。
胸に迫るものがある。


「お仕事を早く終われるようにするから、保育園からママの顔を見に来よう」


保育園の延長保育をお願いすれば、十九時十五分までは預かってもらえる。

それから病院に来て、ご飯を食べさせたりお風呂に入れたりしていては大変すぎる。

ビーカインドの要である営業推進部の部長として日々忙しく働いているはずなのに、これ以上負担をかけるわけにはいかない。


「陽菜。智治さんはお仕事が忙しいの。ママ、早く治すから――」

「早く治したいから、陽菜ちゃんの応援がいるって。だから、明日も来ような」

「うん!」


智治さんは私の言葉を遮り、陽菜と約束してしまう。

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