月が青く染まる夜に
今度は経理部の部長が「うーん」と渋い声を上げた。
ちょうど向かいの席に、経理部長が腕を組んで座っていた。

「だが耐用年数は法定上まだ残っている。更新すれば今年度の設備予算はほぼ消える。それはどうする?」

静かな声だけど、静かな圧。畳みかけるように、

「事故確率はどの程度だ?」

と、首をかしげて確率を求める。

事故は、いつも“まだ起きていない”。
それが経理部の意見である。

高玉課長が淡々と返す。

「確率より、影響度ですよ」

「受電点が落ちれば、全系統停止します。復旧はメーカー手配で最短三週間となります」

迅和くんが課長に続けて答えたことにより、ぴくりと経理部長の眉が動いた。

三週間という期間を加味して、私は頭の中で計算する。

営業損失。
代替電源手配費。
信用低下。

それを数字にすれば、もっと大きい。


< 113 / 164 >

この作品をシェア

pagetop