月が青く染まる夜に
信号機不足です
その日は出社してすぐに、いつもと違うことに気がついた。
コピー機の向こう側、道路交通設備課。
おはよう、が飛び交う事務所の中で、そこだけが穴のようにボコっとした大きな溝に見える。
早めに出社して、けだるそうに座る後ろ姿がなかった。
代わりに彼のデスクには図面と点検記録が無造作に広がっていて、殴り書きみたいに何かの数式が並んでいる。
消しゴムのカスも残っていた。
そっと近づくと、図面の右下に小さく歩行者信号の絵が描いてあった。
ちゃんと上の箱には止まっている人がいて、下の箱には歩いている人がいる。
ふふっと笑みが浮かんでしまった。
落書きを描くなんて、可愛いところあるじゃん。
私は持っていたボールペンを取り出して、上の箱を赤いペンで塗り、下の箱は青く塗った。
丁寧に塗らず、斜めに線を重ねるだけの。
設備課の人たちがぞろぞろ出勤してきたことに気がついて、すぐにその場から去った。
コピー機の向こう側、道路交通設備課。
おはよう、が飛び交う事務所の中で、そこだけが穴のようにボコっとした大きな溝に見える。
早めに出社して、けだるそうに座る後ろ姿がなかった。
代わりに彼のデスクには図面と点検記録が無造作に広がっていて、殴り書きみたいに何かの数式が並んでいる。
消しゴムのカスも残っていた。
そっと近づくと、図面の右下に小さく歩行者信号の絵が描いてあった。
ちゃんと上の箱には止まっている人がいて、下の箱には歩いている人がいる。
ふふっと笑みが浮かんでしまった。
落書きを描くなんて、可愛いところあるじゃん。
私は持っていたボールペンを取り出して、上の箱を赤いペンで塗り、下の箱は青く塗った。
丁寧に塗らず、斜めに線を重ねるだけの。
設備課の人たちがぞろぞろ出勤してきたことに気がついて、すぐにその場から去った。