月が青く染まる夜に
このままではいけない、となるべくいつも通りに接する。
私のこの淡い葛藤さえも、彼には伝わっていないだろう。

ちゃんと顔を向けたからなのか、迅和くんは安心したようにいつも通りに仕事の話を進める。

「第七条の単価スライド、上限値入れておいた。あと、災害時優先供給の覚書も追記してあるから」

書類を差し出される。

受け取って、内容を確認してうなずいた。

「ありがとう」

仕事の声でお礼を言う。

平常心、平常心。ここは会社。
浮かれちゃだめ。


コピー機の音。
キーボードの打鍵。
蛍光灯の白い光。
何も変わらない日常の世界。
様子がおかしいのは、私だけ。

ふぅ、と息をついた。


まだまだやらなければいけない仕事は山ほどある。
気持ちを切り替えて、必要な書類やタブレットを持って会議室の準備へ向かった。


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