月が青く染まる夜に
「紗菜ちゃんの髪の毛にも、白い毛がついてるよ?」

急に後ろから声をかけられて、ビクッと震えた。
いつからいたのか、真奈美さんがマフラーをほどきながらやさしく微笑んでいる。

「えっ、髪の毛にもついてます?ちくわの毛?」

クリップで留めたばかりの髪の毛をまさぐると、ウソ、と真奈美さんは含んだように笑った。


ちっとも赤ランプが消えないコピー機に悪戦苦闘していると、迅和くんがいつもみたいにさらっと直してくれた。

ランプの色が変わり、通常運転を始めたコピー機がどんどん印刷を再開する。


「僕、これ直すの得意なので」

彼を意識し始めた頃、同じことを言われたっけ。

でも今は、あの時よりも違う温度と、きっと、私だけに向けられる愛情。

「ありがとう」

返してくれる笑みが、特別なものだって知ってる。


窓の外の光が、ほんの少しだけやわらいでいた。

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