月が青く染まる夜に
遠くでは作業員たちが片づけを始めていて、工具箱の金属音が規則正しく響く。
無線はずいぶん静かになった。

私は一日の終わりが見えてきた、と気が抜けて「はぁぁぁぁぁ」と大きなため息をついた。
ついでに簡易テーブルに突っ伏す。

「早く湯船に浸かりたーい…」

突っ伏したままひとり言をつぶやくと、

「今日はこのまま送りますか?」

と、やけに冷静な声が後ろから聞こえた。

「うわぁっ!!!!!」

先ほどのため息より何倍もの声を上げてしまい、慌てて口を自分の手で塞ぐ。

面白いものでも見るように、迅和くんがテントの支柱にもたれて私を見下ろしていた。

「いつからいたの!?」

「ついさっきです。クソデカため息は聞きました」

「ねえ!ひどいよ!」

言い方!とごねていると、ハイ、とホットココアの缶を差し出された。

ココア缶と彼の顔を見比べているうちに、冷えていた指先が一気にあたたまる。
ありがとう、とモゴモゴお礼は言っておく。

缶を開けて甘いココアを飲みながら、ほっこりした気持ちになる。

「…これでさっきの失礼発言がチャラになったと思わないでよ」

「クソデカため息?」

「リピートしないで!」

「送ります?直帰するなら」

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