月が青く染まる夜に
取り調べのごとく何があったのか数時間前に給湯室で吐かされた私は、もう素っ裸みたいなものだった。
個室のこの居酒屋では、堂々とマスクも外せてしまう。
すっぴんでも、この人の前なら許せる。


私はグラスを両手で包んだまま言葉を探す。

「…計画とか言わないでください」

あれが計画的だったなら、ショックだ。

「じゃあ答えて。彼、コーヒーはどこに置いた?」

尋問のようにただしてくる真奈美さんの迫力といったら。
焼き鳥を刺す串のように尖っている。


「えぇっと…社食のテーブルの隅に…」

「角度は?」

「角度?」

「そう。真正面か、斜めか」

「紙コップに正面も斜めもないですよ!」

「甘いね。恋は幾何学なんだよ」

────幾何学とは?


店員さんが焼き鳥を追加で置いていく。
塩もタレも両方盛り付けてある、贅沢なひと皿。


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