悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 御者の手を借り、開いたドアからゆっくりと降りてきた女。

 夜の離宮。
 足元を照らす程度の明かりしかないというのに。

 その女は、まるで光をまとっているかのように見えた。

 「なんと……」

 無意識に感嘆の声が漏れる。
 緩めるつもりのなかった足が、気づくと止まっていた。

 その女が、足元に落としていた視線をふと上げる。
 余の存在に気づいたのだろう。射貫くような強い眼差しが、こちらに向けられた。

 その瞳に、人外めいた気迫を感じて、寒気に似た感覚が身体を駆け抜けていく。
 緊張に身を固くした瞬間、女がふっと表情を緩めた。

 夢のように美しい微笑みだった。

 「これはこれは、国王陛下ではございませんか」

 よく通る艶やかな声が、耳に心地よい。
 贔屓の舞台女優よりもよほど魅惑的なその声に、誘われるように一歩足が前に進む。

 「……なぜ余が国王だと?」

 女とはもちろん初対面だ。
 しかも脱ぎ着しやすいよう簡素な服に着替えている。だというのに、なぜこの娘はすんなりと言い当てたのか。
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