悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 イレーヌの部屋を出てそのままロベリアの部屋に向かう。
 気は重かったが、当事者から名前が出た以上、確認しないわけにはいかない。

 ノックをすると、すぐに応えがあった。

 「ご機嫌よう、エミリオ殿下」

 ロベリアは長椅子に腰かけ、いつものように余裕の笑みで僕を迎えた。
 相変わらず妙な圧を感じる笑顔だ。
 だがなぜだろう。以前ほど恐れる気持ちはない。

 「どうぞおかけになって」
 「いやここで結構だ。二、三質問をさせてもらう」
 「あら何かしら」
 「先ほどイレーヌ殿の部屋で騒ぎがあったのだが、聞き及んでいるか」
 「ええ、ずいぶん派手にやらかしたみたいね。ここまで響いてたもの」

 僕の質問に、ロベリアはつまらなそうに応じた。いや、むしろ不快そうに見える。
 その反応を少し意外に感じた。
 嫉妬から嫌がらせを繰り返してきた一派が瓦解したのだ。
 多少なりとも面白がったり、溜飲を下げて上機嫌になるものではと思うのだが。

 「経緯を何か――」
 「知らないわ。あたしはそこにいなかったもの」

 即答だった。あっさりと、曇りひとつない声音。
 視線は揺れていない。嘘の気配は感じられなかった。

 「彼女、あたしを陥れることに情熱を燃やしてるみたいだから。巻き込みたいんじゃない?」

 ロベリアが皮肉に唇を歪める。
 一応話を聞きにきたものの、僕もおそらくそうなのだろうなと踏んでいた。

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