悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「そう怒るな。一ヶ月も耐えたんだ。十分罰を受けただろう」
 「下級女官にも手を出したのでしょう? 自業自得ね」

 それもバレていたか。
 ロベリアの情報収集能力には舌を巻いてしまう。
 やはり次期国王たるオレの相手となるには、これくらい有能であるべきだ。

 感心しつつも、他の女との情事を指摘していじけている様は可愛らしい。
 彼女は疑っている。自分への愛が他の女に向けるのと同じ程度なのではないかと。
 そして怯えて怖がって、自分を守るために攻撃的になっているのだ。

 「馬鹿だな。あんなの全部、ただのお遊びだよ」

 いくら宥めてもロベリアの機嫌はなかなか治らない。
 それだけオレへの愛が深いのだろう。

 オレもおまえと同じくらい想っているのだと、早く証明してやらなければ。
 安心させようと、頬に伸ばした手がスイ、と躱される。

 「陛下から『ロエルに触れさせるな』と命じられておりますの」

 行き場をなくした手を見ながら、ロベリアが挑発的な笑みを浮かべる。
 嫉妬させたことへの仕返しのつもりだろう。それはある意味でとても的確だった。

 ただでさえロベリアとの逢瀬を禁じた苛立っていたというのに、その父上を今ここで引き合いに出すなんて。
 案の定オレの神経は波立ち、愛しいロベリアを前にしているというのに険しい表情になってしまう。

 あの男が独占欲をこじらせたせいで、オレたちは長い間会うこともできなかった。
 だというのにそれを禁じた張本人は、毎日のようにロベリアに会っていたのだ。許せるはずがない。

 自分の立場を利用して彼女を束縛し、自由を奪った。
 ロベリアが誰を愛そうと、止める権利など神にすらないはずなのに。
 王の血筋に生まれついたというただそれだけの無能が、なぜ愛し合う二人の邪魔をするのか。

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