悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「我が父ながら、目障りな存在だ……」

 ギリリと奥歯を噛みしめ、小さく呟く。
 その声が聞こえたのか、ロベリアの美しい瞳が微かに揺れる。

 きっと今、彼女も同じことを考えている。
 父のせいで二人の未来に影が差していると。

 早くこの理不尽な軟禁生活を終わらせてやりたい。
 愚かな王の伴侶にさせられるかもという不安を取り除いてやりたい。

 「ロベリア。つらいだろうが、少しの間辛抱してくれるか」

 ぎゅっと手を握り締めて慰めの言葉を絞り出す。不安がる恋人を、抱きしめて宥めてやることもできないなんて。

 「必ず事態を好転させると約束する」

 じっと目を見つめながら誓う。
 ロベリアはオレの真意を読み取ろうとするように見つめ返してきた。

 「本当に……?」

 その期待するような眼差しに、心が奮い立つ。

 少し前から考えてはいたのだ。
 本当に父は国王としてこの国に必要なのか、と。

 政務も手につかないほどにロベリアに入れあげ、誰かに奪われるのではと疑心暗鬼に陥り臣下を遠ざける始末。
 隙あらば後宮に来ようとして、ルキウスを始めとした文官たちに引き戻されている。まるで薬物の中毒症状だ。

 その尻拭いに、ルキウスは使い勝手のいいエミリオを選んだ。
 面白みのない男だが、生真面目な性格は地味な作業には向いている。都合がいいと判断したのだろう。
 父上があまりにも役立たずなせいで、弟は政務のほとんどをこなせるようになっているという。

< 115 / 206 >

この作品をシェア

pagetop