悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 ルキウスはきっともう父を見限り始めている。
 お飾りの王がいつ自滅してもいいように、いずれくる世代交代に備えて、オレの補佐役を育てているのだ。

 腹心の宰相に見放されたと気づきもしない愚王。
 そんなやつがいつまでも玉座に居座っていれば、不幸になる人間が増えるだけ。
 ならばその世代交代を、少しばかり早めても問題ないのではないか。

 第二王子に雑務をやらせる役立たずの王。
 笑わせる。そんなものは王じゃない。王冠を支えるべき首はもう腐っている。
 それを皆に示してやる時がきたのだ。

 「せっかく会えたというのに残念だが、すべきことを思い出した」

 安心させるようにロベリアから距離を取る。

 あの男の言いつけを無視して今すぐ抱きしめることもできた。
 だがそれはしない。激情に任せて動けば、お飾りとはいえまだ王という地位にある父によって引き裂かれてしまう。

 それではダメなのだ。
 正々堂々とロベリアを手に入れなくてはならない。

 「次に会うときは、もっとゆっくり話をしよう」

 誰の目も気にせず、何にも制限されず、二人だけの時間を。
 そのためには父に分からせてやる必要がある。
 貴様はもう王位に相応しくない。潔く退陣して息子にその地位を譲るべきだと。

 そうしてこの囚われの姫君を、悪しき老王から救い出してやるのだ。

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