悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 それでもモヤモヤは晴れず、花瓶を掴んで床に叩きつけた。
 ガシャンという派手な音とともに陶器が砕け散る。
 少しだけ胸がスッとした。

 続けざまに、新調したばかりのティーカップを壁に投げつける。
 パンッ、と小気味のいい音を立てて弾けた。

 「……ふぅ」

 それだけで少し気が晴れて、呼び鈴を鳴らす。

 「お呼びでしょうかっ」
 「片付けてちょうだい」

 転がり込むように駆け付けた青い顔の下級女官に言いつけて、ソファにゆったり腰を下ろす。

 ヴェロニカとの諍いで覚えてしまった暴力的なストレス解消法。
 淑女とはいえぬ行いだが、どうせ誰が見ているわけでもない。
 お行儀良くしていたって、損をするばかりだ。馬鹿げている。

 陛下は下品で無教養なロベリアに夢中だし、ロエル殿下も姿を見せない。
 傷物になったヴェロニカにはすぐに飽きたらしい。さもありなんだ。

 思い出してまた腹が立つ。
 衝動的に、もう一つのティーカップを、女官に向けて投げる。
 狙い通り、カップは彼女のすぐ近くに落ちて砕けた。

 「ひぃっ!」
 「ほほ、無様な悲鳴ですこと」

 涙目で震える女官の反応に、愉快な気持ちになる。

 そう、最初から分かっていたのよ。
 あの女がすぐ捨てられることなんて。
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