【4/5書籍発売】悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 エミリオ殿下から聞いた。
 ロエル殿下はわたくしのもとに通っているのが陛下にバレて、後宮への出入りを禁じられたと。

 だけどそれだけが理由だとは思えない。
 だって陛下はもうわたくしに興味などないのだ。いつでも好きにできる、何度も抱いた身体に価値はない。
 容色も、認めたくないが入城した頃に比べればずっと衰えた。

 分かっている。
 陛下はきっと、ロベリアがロエル殿下に興味を示すことを恐れたのだ。

 老い衰え始めた陛下と、男盛りの殿下と。
 周りにまともな男性のいない庶民のロベリアが選ぶなら、間違いなく後者だろう。

 そう、殿下はあまりにも魅力的だ。
 王妃の座という、女性最大の夢を霞ませるほどに。

 彼は見目麗しいだけでなく、女性を喜ばせることに長けている。
 それは会話だけでなくベッドの中でもだ。

 保険のはずだった。
 年上の魅力で篭絡して楽しんでいた。
 なのに、いつしか立場は逆転していた。いつの間にか陛下の訪れよりも、殿下を待ち望むようになっていた。

 嵌まっていたのはわたくしの方だった。
 後宮への出入りを禁じられた理由が、ロベリアへの興味だと思うと胸が苦しい。

 だけどきっと本気ではない。貞淑で高貴な貴族令嬢を見慣れたあの方の目に、盛りのついた雌犬が新鮮に映っただけ。
 一時の気の迷いだとしても、殿下の気を引けたとロベリアは有頂天になって、後宮のトップに立てたと勘違いしている。
 だから庶民のくせにあんなにも偉そうなのだ。

 血統も教養もない、少し顔がいいだけの女など、初めからこの後宮に入れるべきではなかった。
 現に今、貴族のマナーもルールも知らず個室を与えられて図に乗ったロベリアのせいで、後宮の秩序が大いに乱れている。
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