悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 後宮だけではない。
 これは国家をも揺るがす由々しき事態だ。
 もし陛下が本気であの女を正妃にとお考えなら、大問題だ。娼婦が国母となるなど、考えただけでもおぞましい。

 ふと、恐ろしい考えが頭をよぎる。

 もしやあの女、王家の失脚を企む勢力が送り込んだ毒婦なのではないか。

 あの薄汚れた身体を使って、陛下とロエル殿下をいいように操り、国家の転覆を狙っているのだとしたら。
 考えついてゾッとする。

 だとしたら、我が国セルトラヴィアを支えるカリスティア公爵家の娘が、なんとしても阻止せねばならない。
 けれど仮にそうだとして、そんな大それたことを考える人間が国内にいるだろうか。
 皆陛下におもねるばかりで、自分がその立場になろうという野心を持つものは思いつかない。
 ルキウスならあるいは、と思いかけて、あれはそういう支配的な男ではないと少し冷静になる。

 口元に手を当てじっと考える。
 もしかしたら、セルトラヴィアとずっと小競り合いを続けている隣国が関わっているのではないか。

 恐ろしい可能性に行きついて、ざわりと胸が騒いだ。
 だけどそう考えると、陛下が庶民ごときに傾倒する理由も見えてくる。

 おそらくロベリアの後ろについている何者かが、怪しい薬物やまじないを使って操っているのだ。
 殿下もきっとその奸計にかけられている。

 ああ、やはりわたくしの密告は間違っていなかったのだ。
 噛みしめるように思う。

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