悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「許せない……」

 フツフツと怒りがこみ上げてくる。

 今更気づくなんて。
 わたくしとしたことが、なんという失態なの。このままでは何もかもがあの女の思惑通りよ。
 庶民という肩書も、油断させるための作戦に違いない。本当はきっと王命を受けた隣国の貴族の娘か、そうでなければその貴族に立ち居振る舞いを教え込まれた情婦か。

 そうであれば貴族令嬢ばかりのこの後宮において、堂々とした立ち居振る舞いなのも納得できる。
 あの女はとにかく庶民特有の泥臭さのようなものがない。
 笑い方も仕草も決して上品ではないが、毅然とした潔さがある。
 それはどこか舞台女優のような、作られた美しさのようでもあった。

 「わたくしの訴えは間違っていなかった……なのに……!」

 もっと早く確信を持てていれば。ヴェロニカもリュシーもわたくしに心酔したまま、ロベリアを追い出す手助けをしてくれたはずなのに。
 悔しいことに、もう手遅れだ。

 こうなっては孤立無援で戦うしかない。
 あの女の真実に気づいているのはわたくしだけ。

 証拠を消されてしまう前に、動き出さなければ。
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