悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~

▽イレーヌ・カリスティア②

▽イレーヌ・カリスティア②


 その日からわたくしは秘密裏に動き始めた。
 なんとかしてロベリアの企みを阻止しなくては。

 そう思いはするものの、ロベリアはなかなか尻尾を掴ませてはくれない。
 よほどよく訓練されているのだろう。誰かと連絡を取り合う素振りも見せず、ルキウスからの追究もひらりと躱して涼しい顔だ。

 簡単に集まると思っていた証拠はひとつも見つからないまま、苛立ちは日ごとに募っていく。
 ロベリアのことばかり考えているせいで常に眠りは浅く、食欲も落ちた。
 肌の冴えはみるみる失われ、鏡越しの顔は目が落ちくぼんで見えて、まるで十歳も歳をとったようだ。

 リュシーの代わりを務める化粧係の腕はひどいもので、余計に更けて見える。
 罰として両頬が腫れ上がるまで叩いてやったら、誰もわたくしの部屋に近づきたがらなくなってしまった。
 おかげで部屋の中は荒れ放題で、どんどん心がささくれ立っていく。

 これも私を追い落とすための策略なのだとしたら、認めたくはないが効果覿面だ。
 綺麗なものに囲まれ、憧れに満ちた賞賛を浴び、心穏やかに生きてきたわたくしにとって、今の環境は地獄に等しい。

 わたくしはただこの国を救いたいだけなのに。
 どうしてこんな目に遭わせられなければいけないの。

 ノイローゼ寸前まで追い込まれて、限界を感じ始めていた頃。
 ベッドの中。深夜だというのに一向に眠気が訪れず、妙に冴えた頭が突然、警鐘を鳴らし始めた。
 気のせいと思おうとしたが、胸騒ぎがしてどうにも落ち着かない。

 こんなところでじっとしている場合ではないのではないか。
 わたくしの中の誰かが、急き立てるように囁きかけてくる。

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