【4/5書籍発売】悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 髪を振り乱したまま、ギッと私を睨みつける目は血走っている。まともじゃない。
 憎しみの満ちた目。標的が私に変わったのだとすぐに分かった。

 「待ってください、落ち着いて――ッ!」
 「目障りよ!」

 言い終わる前に、燭台の先が振り下ろされた。

 「きゃあっ!」

 蝋芯を立てる金具が、ガードしようとした二の腕に突き刺さる。熱い。確かめるように触れると、指先が濡れた。

 「ぅぐッ!」

 それが血だと理解するより先に、イレーヌの身体が視界から消えた。

 「え⁉」

 痛みも忘れてパチパチと目を瞬く。

 「よくもやってくれたわねこの傲慢女ぁ!」

 怒号が聞こえて咄嗟にそちらを見る。
 床に倒れ伏したイレーヌの上にロベリアが馬乗りになり、胸倉を掴むところだった。

 「ぶっ殺してやる!」
 「だめぇ!」

 イレーヌを殴りつけようと振り上げたロベリアの手に全力で縋りつく。
 刺されたばかりの腕が痛んだが、構ってはいられなかった。

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