【4/5書籍発売】悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「叩いたらあなたが悪者にされちゃう!」
 「っ!」

 貴族社会は身分の上下が物をいう。
 公爵令嬢のイレーヌを、庶民のロベリアが傷つけたとしたら。
 たとえ先に手を出したのがイレーヌだとしても、ロベリアがなんらかの処分を受けることになってしまう。

 「あははっ! そうよ殴ればいい! そうしたらあんたなんかすぐにでも追放してやる!」
 「こっの……!」

 一度止まりかけたロベリアの手が、イレーヌの挑発に再び力がこめられるのを感じて慌てる。
 どうしよう。このままじゃ。

 「おまえたち! 何をしている!」

 その声が聞こえた瞬間、ロベリアにしがみついていた腕から、ホッと力が抜ける。

 「エミリオ殿下……!」

 安堵で思わず名前を呼ぶ。
 私の声に反応して、ロベリアが扉の方を振り返って舌打ちをした。

 騒ぎを聞きつけたのだろう。
 エミリオの後ろから、兵士が二人入ってくる。さっき私の報告を聞いて後宮内を調査しに来てくれた兵士たちだ。

 「どきなさい!」

 注意が逸れたのを見て、イレーヌがロベリアを突き飛ばして立ち上がる。
 剣幕にたじろぐ兵士たちの間をすり抜け、イレーヌが全速力で逃げ出した。
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