悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 初夜を延期されて嘆いているかもしれない。
 何か機嫌を損ねるようなことをしたのかもと自分を責めているかも。
 あるいは、少しホッとしているのだろうか。

 アイリスならすぐにでも寵姫になれるはずだ。
 けれどそうなったらアイリスは苦しむかもしれない。

 父はひとたびお気に入りができると、公務をおろそかにして昼も夜もその女性のもとに通ってしまう。
 きっと明日こそ初夜を迎えて、アイリスの元にも足しげく通うようになる。

 憂鬱な気持ちになって深いため息をつく。

 父は王妃である母が死んでから変わってしまった。
 いや、ルキウスが言うには元からああいう性質で、母という枷を失って箍が外れただけらしいが。
 母の死を機に、父はやりたい放題だ。

 側室制度なんてものは万が一王妃が男児を産めなかったときの保険でしかなかったのに。
 父はそれを拡大解釈して、他国の制度を真似て後宮を作り上げた。王家の血を絶えさせぬために、子を宿す腹がたくさんあればいいだろうと。

 そんなものただの建前で、見目麗しい貴族令嬢を好きにしたいだけなのは周知の事実だ。
 貴族の中には、陰で離宮を『王宮娼館』と揶揄する者がいるのを知っている。
 それだけではない。
 ロクに王としての職務も果たさず、色を好み、国庫を後宮運営に注ぎこむ愚王だと、庶民でさえ噂している。

 いったい女性をなんだと思っているのだろう。
 未来の王妃候補なんて言葉で釣って、いつまでも王妃を決めることなく弄んでいる。

 腹が立つけれど、強く言えない自分が情けない。
 しょせん僕は第二王子で、後宮の管理しかさせてもらえないのだ。
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