悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 たまに届く姉からの手紙には、家族を心配させないための気遣いばかりが綴られていた。

 『そんなに悪い暮らしではないから心配しないで』
 『陛下はお優しい方だから大丈夫』
 『気に入っていただけたのでガーランド領には便宜を図ってもらえるそうよ』
 『あなたが愛する人と幸せになることをずっと祈ってる』

 検閲が入るのだろう。
 余計な装飾のない短いその手紙には、私が出した手紙の内容は反映されていなかった。
 たぶん姉の手には届いていないのだろう。
 だけどその文面を、私は信じるしかなかったのに。

 王宮から姉の訃報が届いたのはその二年後だ。
 死を悼む定型文の末尾に「死因:自死」とだけある簡素なものだった。

 確かめたくとも、遺体は王宮墓地に手厚く埋葬されたとあり、死に顔さえ見ることができなかった。
 詳しい説明など一つもなかった。

 だけどありえない。
 姉はいつだって理性的で、家に累を及ぼさないよう王命に従う道を選んだ人だ。
 よほどの事情がないかぎり、みずから死を選ぶはずがない。

 そう訴えても父母は嘆くだけで、王宮へ詳細説明を求めることはなかった。
 兄など、むしろ両親の愛を一身に受けていた姉の不在を密かに歓迎していた節さえある。
 ガーランド家は抗議ではなく沈黙を選んだのだ。
 だから私が動くしかなかった。
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