悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 後宮の管理を任され、雑用すらこなすエミリオ。
 あちこちに顔を出すエミリオは、与えられた仕事以上に働く姉と顔を合わせる機会が多かったらしい。
 何度か言葉を交わすうち、二人は想い合うようになった。

 もちろん表立っては何もしていない。
 後宮女官はすべて国王のための存在だ。
 構わず手を出すロエルが異常なのであって、エミリオはまだまともだったらしい。

 けれど見る者が見れば分かる。
 交わし合う視線が、わずかに触れ合う手が、少しずつ慕わしいものに変わっていくのを、姉を慕う下級女官たちは温かく見守っていた。

 だがそれを面白く思わない者がいた。
 イレーヌだ。

 自分の手で捻り潰してやったはずの憎い女が、新たな幸せを見つけようとしている。
 しかもその相手が第二王子だなんて。

 どこから聞きつけたのか、エミリオとの仲を知ったイレーヌは、姉にとどめを刺すことにした。
 タイミングも悪かった。
 その頃、イレーヌの愛人の座に復帰したロエルが、後宮女官に手を出していたことが国王にバレかけ焦っていたのだ。

 その罪を、エミリオに押し付けようとするロエルと姉を貶めたいイレーヌが結託し、二人の不義密通罪がでっち上げられた。
 想いを伝えあうこともできず、手を繋いだことすらないのに。
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