悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「……君の処刑日が決まった」

 ルキウスの顔が辛そうに歪む。
 反逆罪で絞首刑に処されるのを、悲しんでくれるのが嬉しかった。

 「役に立てなくてすまない」

 絞り出すように言われて、やつれて顔色の悪いこの男が、自分のために奔走してくれた。
 それだけでもう十分だ。

 「この国はもうおしまいだ。せめてエミリオ殿下が次期国王だったなら……」

 私に聞かせるというより、独白に近い呟きだ。
 諦めと悔恨の滲む、疲れ切った声。

 翌日、一ヶ月ぶりのまともな食事を泣きながら食べた。
 胃が食べ物を拒絶していたが、彼の優しさを無駄にしたくなくて全て残さず飲み込んだ。

 気を失うように石床で寝た。
 目が覚めると、衰弱し切った身体で絞首台に立たされた。
 王都の大広場の中大勢の民衆に囲まれおかしな熱狂に包まれ、罪状が朗々とした声で読み上げられていくのを震えながら聞いた。

 どうしてこんなことに。私はただ姉の死の真相を知りたかっただけなのに。
 混乱と恐怖の中で思う。

 私の刑執行は、二度と同じことをする人間が出ないよう、見せしめとして必要以上に派手に喧伝された。
 助けを求めるように視線をさまよわせても、自分を助けてくれるものは誰もいない。

 憎き国王の横に、ルキウスを見つけた。
 彼は沈痛な表情で私を見、せめて理不尽な死から目を逸らすまいと耐えているようだった。

 もっと上手くやれていれば。
 もっと賢く立ち回れていれば。

 最初から彼を味方につけていれば、少しは違ったのだろうか。
 後悔してももう手遅れだ。

 絶望の中、どんと背中を押され、首に衝撃を感じる。

 私の人生はそこで幕を下ろした。


 はずだった。
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