悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「お前も少しは痩せて、我が家の役に立ちなさい」
 「豚みたいにブクブクと……一体誰に似たのかしらねぇ」
 「僕が継いだら追い出すからな。デブが好きな男を見つけておけよ」

 記憶と一言一句違わないそのセリフたちに、私の頭は真っ白になった。

 鬱陶しがられるのにも構わず、その場で思いつく限り質問した。
 結果、姉が後宮に連れ去られた直後に時間が巻き戻っているのだと理解した。

 もちろん俄かには信じた難い。だけどそうとしか思えないのだ。
 新手の嫌がらせかと警戒もしたが、そんな手の込んだことをする必要もない。
 この頃の私は彼らの言葉にいちいち傷ついて泣いていたし、そのストレスで余計に食べてしまうのを見て、彼らは飽きもせず大喜びしていたのだから。

 とにかく与えられる情報は全て事実だと割り切って、頭の中を整理して愕然とする。
 今日が姉が旅立った翌日なら、姉の訃報が届くのは約二年後だ。
 このまま一度目と同じようにただ泣き暮らしていたら、姉の死も同じように訪れてしまう。
 そんな現実、二度と見たくはなかった。

 もしかしたら死の間際に見る長い夢なのかもしれない。
 あるいは一度目の死が、ただ最愛の姉がいなくなったショックで見ている現実逃避の妄想だったのだとしても。
 これから現実に起こる可能性が一パーセントでもあるのなら、回避するための対策を考えなくては。

 そう決意して、それから数日間、睡眠と食事の時間を削って考え続けた。
 それでも牢獄の固い寝床でとる睡眠や、刑執行までギリギリ命を繋ぐためだけの食事より圧倒的に質が高い。
 両親の「とうとう痩せる気になったか?」という嫌味も、牢番の罵倒に比べれば子守唄に等しかった。
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