悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 侯爵が宮廷で有利な立場になるよう陛下を虜にしてみせるという約束のもと、トントン拍子に後宮入りが決まった。

 それから数週間、侯爵の指導のもとで陛下好みの女を演じる特訓が行われた。
 陛下の好みは「気の強い女」。
 侯爵は私にその素養を見出したからこそ愛人の誘いをすぐに諦め、後宮入りの提案をしたのだと言った。
 一度目でその情報を掴んで準備をしていたから、当然の結果だ。

 後宮に入る日を決めたのは侯爵だ。
 陛下の今のお気に入りの晴れ舞台にぶつけてやろうと、意地の悪い顔で笑っていた。
 自分の息がかかっていない令嬢がお気に入りの座を射止めるのをなんとしても阻止したいのだそうだ。
 それが姉であることは明白だった。

 私は見事に陛下の心を撃ち抜いて、姉の初夜を防ぐことに成功した。

 姉は悲しむだろうか。
 いや、きっとホッとしている。

 罪悪感を誤魔化すように、姉の笑顔を思い浮かべながら陛下に「大部屋なんて絶対に嫌」と厚かましいおねだりをした。
 中級女官と個室付きの上級女官の居住区域は分かれている。
 姉に会う可能性を少しでも減らすには、個室を得る必要があったのだ。

 後宮では、姉と一切関わらないと決めていた。
 これから私がしようとしていることは、後宮女官全てから恨みを買ってもおかしくないことだから。
 姉妹だということがバレたら、とばっちりで姉まで嫌がらせを受けるかもしれない。
 それでは一度目と一緒だ。

 姉には何も知らないまま幸せになってほしい。
 一つも傷ついてほしくない。

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