悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 ロエル殿下は私のもとに通う傍ら、イレーヌとも関係を切らず、抵抗できない下級女官を襲い、己の欲望を満たしていた。
 この男は根っこから腐り切っている。陛下以上に救いようがない愚か者だと悟った。

 殿下の落とし物に、気づいていたのに放っておいたのはもう耐えられなかったから。
 限界を超えて爆発する前に、陛下の手を借りることにした。
 親子関係が拗れようと、もはや知ったことではない。

 いっそ激怒した陛下に幽閉でもされてしまえばいいのに。
 そうすれば少なくとも後宮内の平穏は保たれる。

 だがロエル殿下は軽い謹慎処分と後宮への立ち入りを禁じられるだけで終わってしまった。
 そんなものであの男が反省するとは思えなかった。
 王位継承者を厳しく罰することはできないのだろう。

 それに「いずれ王位を継げば後宮はあいつのもの。ロベリアにさえ手を出さないなら、他の女官などくれてやる」と、私の気を引くため陛下は寛大ぶってそう言った。
 女官を人間として扱わない邪悪さに、私が吐き気を覚えていることも知らずに。

 この男がセルトラヴィアの国王? 
 冗談じゃない。
 自分以外は家畜とでも思っているような人間が、国民の幸福を考えるわけがない。

 それにもし私が王妃になれて陛下をうまく操縦できたとしても、ロエル殿下に代替わりした瞬間全てが台無しになる。
 国費は無駄に使われ、後宮制度は復活し、哀れな女性は今以上に増えるだろう。

 ならどうする。考えるまでもない。選択肢は一つしか残っていなかった。

 エミリオ・ラスセルト。
 この国の第二王子で、後宮の管理を任されている男。

 王族とは思えない優しい性格で女官たちに舐められがちだが、堂々と後宮に出入りできる立場にありながら一度も女官に手を出したことがない。
 それだけでロエル殿下よりよほど信用できる人物と言える。

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