悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「もちろん君が望めば、だが」

 驚きに言葉を失う私に、ルキウスがニヤリと笑う。

 「望めばってそんな、当たり前、けど、お姉様がどう思うか」
 「アイリス様の意向はすでに聞いている。是非ロベリアにとのことだ」

 困惑してオロオロする私に、ルキウスが先回りで答えをくれる。
 その言葉がどんなに嬉しいか、分かっているのだろう。
 ルキウスは優しい笑みを浮かべて私を見ていた。

 「どうだ? 引き受ける気はあるか?」
 「……っ! 当然でしょう!」

 目にいっぱいの涙を溜めながら、精一杯強気に答える。
 そうでもしなければ泣き崩れてしまいそうだ。

 「お姉様に嫌がらせするやつなんて、私が蹴散らしてやるわ」

 これから姉にはたくさんの困難が待ち構えているだろう。
 陛下の横暴を止めず宮廷を腐らせるのに加担した廷臣たちだ。現状を正そうとするエミリオ殿下と姉に対し、どんな態度を取るかなんて想像に難くない。
 後宮での女同士の争いなんて、比ではないほどに手強いだろう。
そんな相手と全力で戦って守れるように、私は強い女であり続ける必要がある。

 「頼もしいな」

 ルキウスが笑う。
 眩しさに目を細めるように。
 それから生真面目な顔に戻り、姿勢を正してまっすぐに私を見た。

 「だが、一人で頑張らなくてもいいんじゃないか?」

 肩の力を抜けというようにも、自分を頼れというようにも聞こえる誠実な言葉。
< 199 / 206 >

この作品をシェア

pagetop