悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 自信を失った時も、心細くなった時も、ずっと側で支えてくれた人。

 「また一緒に戦ってくれるの? 宰相様」

 後宮での共闘の日々を、これからも続けていけるのかと思うと、じわりと胸が熱くなった。

 「いや、そういうことではなく」

 笑って頷いてくれると思ったのに、ルキウスはムスッとした顔になる。

 「なによ、違うの?」

 露骨にガッカリする私に、彼は呻きながら頭を抱えてしまった。
 それからしばらく言葉を探すように何度か視線をさまよわせた後、観念したように長いため息をついて、こう言った。

 「……プロポーズのつもりだった」

 眉間に深すぎるほどのシワを刻んで、分かりづらく照れるルキウスに呆然としてしまう。

 聞き間違いだろうか。
 だけど目元が赤い。
 こんな表情、見るのは初めてだ。

 「……本気で言ってる?」
 「当たり前だろう。冗談で言えるか」

 信じられずに問うと、彼はヤケになったように乱暴な口調で答えた。

 「でも、どうして私なんて」

 震える声で問う。
 だって分からない。
 鏡の中の自分は確かに美しくなった。陛下もロエル殿下も私に夢中だった。

 自信満々で、勝気で、魅力的な美女。
 だけどそれは偽物だ。

 少し前までの私は、両親にすら愛されず姉の陰に隠れて卑屈になっていた。
 コンプレックスまみれなのになんの努力もしない、つまらない人間だったのだ。父のことを笑う資格もない。
 本当は自信なんて、少しもないままだ。
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