悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「あら、その美貌でお金持ちに嫁ぐんじゃなかったの?」
 「私の価値は美貌だけじゃないって気づいたの」

 私の皮肉に、彼女は肩を竦めてみせた。

 「ハニートラップとか?」
 「それはあんたの得意分野でしょ」
 「喧嘩売ってるなら買うわよ」

 険悪に睨み合う私たちの間から、クスクスと楽しそうな笑い声が聞こえてくる。

 「ヴェロニカには服飾管理をお願いすることにしたのよ」
 「正気ですかお姉様」

 今日のお茶会の主催者である姉が、今にも口喧嘩を始めそうな私たちの間に割って入る。
 エミリオ殿下の婚約者として正式な発表をした姉は、王宮の美容技術の全てを費やされ、今まで以上に美しく輝いていた。

 「ええ。ヴェロニカは流行に敏感でしょう? お化粧も上手だし、その人の良さを引き立たせるのに長けていると思うの。私はそういうの苦手だから」

 微笑みながら姉が言う。
 裏のない素直な褒め言葉に、慣れていないのかヴェロニカが頬を染めながらモゴモゴ何か言っている。

 どう見ても嬉しそうだ。もうすっかり姉の信奉者らしい。
 高位貴族との結婚ではなく王宮勤務を選んだのも、どうせ姉の近くにいたかったからに違いない。

 「お姉様がいいならいいですけど……あら? つまりヴェロニカは私の部下になるということ?」

 さすがお姉様、と心の中で密かに思いながら、面白いことに気づいてニヤリと笑う。
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