悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「そうねぇ、ロベリアは侍女長だから、直接の上司というわけではないけど。全体でいえばそうなるのかしら」

 姉が考えるように視線を天井に向け、慎重に答える。

 次期王妃の妹特権で、過分な職務を得たことに実は少し怖気づいていたのだけど、ヴェロニカを堂々とコキ使うことができるのだとしたら悪くない。
 彼女へのわだかまりはもはやほとんどなくなっているけれど、姉をいじめた仕返しはいつか必ずしてやろうと思っていたのだ。
 我ながら執念深いとは思うが、これくらいは許されるだろう。

 「げ、やめてよ絶対言うこと聞かないから」
 「こんなこと言ってますよお姉様。やはりクビにされては?」
 「ちょっと! アイリスに余計なこと言わないで!」
 「もう、ロベリアったら……そんなことしないから落ち着いてちょうだいヴェラ」

 焦ったように言うヴェロニカに、姉が楽しそうに笑う。

 「あ、う、いや、別に、落ち着いてるけど……」

 愛称で呼ばれたことにモジモジするヴェロニカが、面白くなくてテーブルの下で足を蹴る。
 ヴェロニカはギロリと私を睨みつけたけれど、赤い頬では迫力はない。

 今はなあなあになっているけれど、そう遠くない未来にヴェロニカは心の底から姉に謝罪する日がくるだろう。
 ヴェロニカは姉のおかげでどんどんいい方向に変わっていっている。

 エミリオ殿下の変化も、私のおかげではなく姉によるところが大きい。
 そんな姉の力でも、変えられない人間がいるのも知っている。

 イレーヌは最後まで自分は悪くないと喚き散らして自領に送還されていった。
 リュシーは姉に取り立ててもらえると信じて疑っていないけれど、今日のお茶会に招待されていないということは、つまりそういうことだ。

 だけど彼女が王妃となるこの国にはきっと、幸せな未来が待っている。
 そう信じられるのは、私がシスコンだからというだけではないはずだ。

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